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焼却施設用高温ろ布

都市ゴミ・産業廃棄物焼却、各種ボイラー・乾燥炉、冶金工業諸工程を代表に、高温素材の要求頻度が高まってきています。高温排ガス処理の多くは、多湿・薬品性の影響や、ガス中にダイオキシン・重金属などが含まれていることが多く、フィルターに対して多くの要望が望まれる分野の一つとなっております。これらに対応するため、開発されてきました高温素材について次に説明いたします。

TEFAIRE

テファイヤー

DUPONT社が開発したテフロン85%ガラス15%の繊維混合率のフェルトです。少量の細かいグラスファイバーが摩擦に弱いテフロンの緩衝材として強度アップに貢献する他、表面積増大と過密構造の実現に重要な役割を担っています。比重の多いテフロン繊維では満足いく繊維の清掃構造が構築できず、捕集効率面で他の素材に比べて見劣りがすると考えられていました。テファイヤーはテフロン100%フェルトの2倍の表面積を有しているとも言われています。

PTFE

テフロン・トヨフロン・プロフィレン・ラステックス

現存するフィルターの中で最も耐薬品性に優れた素材であり、現在ではテファイヤーと比べれば、価格的にも安くなります。捕集効率の面で問題視される場合もありますが、現在、当社では前述したカスケード構造の製品を採用しており、ろ過効率の問題は発生しておりません。また、産廃焼却などにおいて、水分率が高いガス処理の場合、保水率の問題からテファイヤーよりも向いているとする意見もあります。

ガラス

耐熱素材としては耐熱ナイロンに次いで安価なフィルター素材で、現在稼働中の都市ゴミ焼却設備で最も汎用しているフィルター素材と言えます。使用温度域を最も高く設定することができ、最近ではPTFEフィルムをラミネートしたガラスクロスへの要望も多く、さらに増加する傾向にあります。テファイヤー、テフロンと比較した場合、ろ過速度を制限されたり、リテーナーなどの部品も縦線材を増やすなどの措置が必要ですが、この条件を守りさえすれば、ろ過効率の面では安定して使用できます。特にPTEFフィルムラミネート品の捕集効率は信頼性があります。

P-84

ポリイミド

有機繊維の中では最高の耐熱性を示す繊維です。しかし、耐薬品性には不安視する意見もあり、実際の使用温度域としては差し引いて考える必要があります。ガラスよりも扱いやすく、テフロン系の製品よりも安価であり、今後の期待が高い素材です。ファイバーは異形断面形状で、高いろ過効率を発揮します。また、芳香族ノンハロゲン繊維のため使用済みバグの焼却処分が可能です。

PPS

ポリファニレンサルファイド

高機能PPS樹脂によりファイバー化されたPPS繊維で、優れた耐薬品性を有します。連続使用温度としては170℃程度までと他の素材に比べると若干見劣りがしますが、この条件下であればテフロン並の耐薬品性を示します。P-84などと比較した場合の信頼性は抜群であり、将来的には耐熱ナイロン並のコストが実現可能とも言われています。熱可塑性の樹脂であり、174℃くらいからは徐々に硬化していきます。

耐熱ナイロン

メタアラミド

アスファルト、プラント、各種ボイラー、キューポラ等の燃焼ガス集じんにおいて、高温炉材の中では一番多く実績を持っています。耐酸性は多少劣るので耐酸処理などの後加工が必要な場合があります。酸が凝縮するおそれのある場合や、多湿ガスでの使用には充分注意が必要です。

焼却施設用各種高温フィルターバグの性能比較表

素材 P・T・F・E P・T・F・E P・T・F・E ガラス P-84 P.P.S ガラス+PTFEメンブレン 耐熱ナイロン
品名 テフロン 891.653 0/0 S90 プロフィレン ガラス P-84 P.P.S ガラスメンブレン 耐熱ナイロン
組織 フェルト フェルト+シリーズ90 フェルト ヨコ二重織布 フェルト フェルト 織布 フェルト
耐熱温度 ℃ 常用 230 230 230 240 200 160 230 204
最高 240 240 240 260 230 190 240 230
耐酸性
耐アルカリ性
多湿ガス
コスト比較 4 4.2 3.8 1 2 1.2 2 1.2
ろ過速度 M/MIN 1.2 1.2 1.2 0.8 1.2 1.2 1 1.2
予想寿命 3 3 3 2 2 2 2 2
剥離性
捕集性能
ケーキ層形成
廃棄方法 専門業者に委託
(焼却埋立て)
専門業者に委託
(焼却埋立て)
専門業者に委託
(焼却埋立て)
専門業者に委託
(焼却埋立て)
焼却処理 焼却処理 専門業者に委託
(焼却埋立て)
焼却処理
HF<100ppm       HF:極めて弱い
専用リテーナー使用
NO2<25ppm
H2O<25%
Br2<10ppm
O2<20%
HF:極めて弱い
専用リテーナー使用
多湿ガスで
加水分解する

高温用フィルターバグに使用される素材は、幾つかありますが、その代表的なものを上記に示しました。
各々の繊維には特長があり、目的や使用条件に応じて、最も適したフィルター素材を選定する必要があります。
フィルター素材を選定する際に、重要となる項目は次の通りです。

  1. ガス温度:常温使用温度や最高使用温度が条件に適していること。
  2. ガス条件:酸性ガス(HCI、SOx、NOxなど)、アルカリ性ガス(NH3など)、水分率などの組成が適していること。
  3. ダスト条件:ダストの潮解性、凝集性、粒子径、粒度分布、pHなどの性状が適していること。

1~3の条件に最も適したフィルター素材を選定することが重要となります。
その他に、コスト面やフィルターバグの寿命(価格・寿命等の数値はモデル係数です。)なども重要なファクターとなります。

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